
概要
明治学院大学経済学部のブランド再定義プロジェクト。 少子化と大学間競争の激化により、志願者数が横ばいで推移する中、「なぜ明治学院大学経済学部を選ぶべきか」を明確化するため、学生調査・インタビュー・ワークショップを実施しながら受験生の意思決定プロセスを起点に学部独自の価値を整理し、ブランドコンセプトとキービジュアルの開発を支援させて頂きました。
背景
明治学院大学は、東京都内でも歴史と伝統を持つ有名私立大学として高い認知度を誇り、いわゆる「MARCHに準ずる人気校」として多くの受験生から進学先候補に挙げられている。一方で、国内の18歳人口減少が加速するなか、大学業界全体では学生募集競争が激化しており、従来の知名度やブランド力だけでは継続的な志願者確保が難しくなりつつあった。
特に、近隣エリアに立地し、校風や学部構成、学生層などにおいて類似性を持つ大学との比較検討の場面では、「なぜ明治学院大学を選ぶべきなのか」という独自の価値や魅力を十分に訴求しきれていないという課題が存在していた。受験生や保護者に対して、自学ならではの教育的特徴や学生生活の魅力を伝える取り組みは行われていたものの、競合大学との差別化要素が必ずしも明確に整理・発信されている状況ではなかった。
また、大学としては中長期的な将来構想や教育改革を継続的に推進していたものの、その根幹にある「目指す大学像」や「大切にしている教育理念・教育方針」が、実際に入学を検討する受験生にどのように認識されているのかについて、十分な把握ができていなかった。加えて、入学者がどのような期待やイメージを持って入学を決定しているのか、また入学後にその期待とのギャップが生じていないかといった実態についても、体系的な分析や検証が行われていない状況であった。
課題
明治学院大学では、少子化による学生募集競争の激化を見据え、大学としてのブランド戦略や将来構想の検討を進めていました。
しかし、大学案内や入試案内などのコミュニケーション施策は、大学側が伝えたいメッセージを中心に構成される傾向があり、受験生がどのような期待やイメージを持って進学先を選択しているのか、また入学後にどのような価値を実感しているのかについては十分に把握できていませんでした。
特に、近隣の競合大学と比較された際に、明治学院大学ならではの魅力や、経済学部で学ぶ価値をどのように伝えるべきかが課題となっていました。
受験生の意思決定プロセスに基づき、学部独自の強みを再定義したうえで、より効果的なブランドコミュニケーションを構築する必要がありました。
施策・アプローチ
大学全体でのブランド検討に先立ち、まず経済学部を対象としたブランド開発プロジェクトを実施しました。
はじめに在学生へのアンケート調査を行い、学生の特徴や価値観、入学動機などを可視化。その結果をもとに教員とのセッションを重ね、インタビュー対象者を選定しました。
インタビューでは、入学前に抱いていた大学・学部のイメージ、進学時に期待していたこと、入学後に得られた経験や成長実感などについて深くヒアリングを実施。さらにワークショップを通じて、学生が感じる明治学院大学経済学部ならではの魅力や価値を整理し、代表的なペルソナ像を策定しました。これらの調査・分析結果は報告書としてまとめ、ブランド開発の基盤としました。
開発フェーズでは、「大学ブランド」と「学部ブランド」の役割整理が重要なテーマとなりました。大学全体が理念や教育方針といった抽象度の高い価値を発信する一方で、学部には受験生が自身の未来を具体的に想像できるような、より学生視点に寄り添ったコミュニケーションが求められると考えました。
成果
調査・分析を通じて見えてきたのは、多くの学生が明治学院大学経済学部での学びや人との出会いを通じて、自分自身の可能性や新たな価値観を発見しているという事実でした。
そこで、経済学部のキーメッセージとして「ここ白金。まだ見ぬ輝きが個々にある。」を開発。歴史と文化が息づく白金という立地を象徴的に活用しながら、一人ひとりが持つ可能性に光を当て、仲間・教授・学びとの出会いを通じて新しい自分に出会える場所であることを表現しました。
あわせてキービジュアルを開発し、大学全体のブランドトーンとの整合性を保ちながらも、経済学部独自の価値や魅力が伝わるコミュニケーションを実現。受験生が自身の未来を具体的に想像できるブランド表現へと刷新することができました。
顧客の声
学部単位のブランディング施策でありながら、ここまで完成度の高いコピーが生まれることに正直驚きました。
実は大学全体で制作したポスターも拝見していたのですが、一般的な大学広報に見られるような情報量の多さや、どこか既視感のあるコピー表現に対して、「本当に受験生の心に届くのだろうか」と感じていました。
一方で、今回制作いただいたポスターは、人に焦点を当てた構成とコピーが非常に秀逸でした。白金という立地の魅力を過度にならない形で表現しながら、インタビューから抽出されたキーワードを効果的に配置し、まだ大学について十分な情報を持たない高校生にも届く内容になっていると感じました。未知の世界への期待感やワクワク感を喚起し、「この学部で学ぶ自分」を自然に想像させる力があります。
これまで広報担当として多くの制作会社と仕事をしてきましたが、本当に人の心を動かすコピーに出会う機会は多くありません。今回の成果物からは、単なる広告制作ではなく、ブランドの本質を捉え、それを言葉に落とし込む力を強く感じました。ブランディングを専門とする会社ならではの価値だと思います。








